保護者と恋人。それはけっしてこえてはならない境界線だったんだ・・・
前に出したもの。
※途中でおわります。性的表現をふくみます。
※途中でおわります。性的表現をふくみます。
がらっと窓があいた。殺気は感じられない。この気配はもしや・・・
「リナさん、こんばんは。」
だれだかすぐわかった。自称『謎の神官』ことゼロス。その正体は、生きとし生けるもののすべての負の感情を生きる糧とする、史上最悪サイテーの種族であり、最強の種族でもある魔族。そーいえばフィブリゾの一件からぱったり姿をみせなかったよーな気が・・・
「なにしに来たのよ、パシリ魔族。」
「リナさぁぁぁん・・・。」
一番イタイところをぐさっとついてやった。魔族は普通、肉体や実体をもたない。精神のみで生きてきているため、なまはんかな攻撃や物理的な攻撃なんかはいっさい通用しない。ダメージを与えるのであるのならばエルメキアランスなどの精神崩壊につかえる攻撃のみ。しかし、魔族も高等になればなるほどその力はアップするため、場合によっては、片手で攻撃をあしらわれることも・・・目の前にいるぜロスだって獣王ゼラスの腹心の地位におり、かなりの高位魔族だ。一見、にこやかーな笑みを浮かべているが、千年ほどまえにちょいちょいと指をふっただけで竜族を破滅に追い込んだことがあったらしい。あたしなんか、まともに戦ったところでひねりつぶされるがおち・・・
「パシリ魔族。うしろ姿ゴキブリ似。」
「ううぅぅ・・・。」
舌先三寸攻撃にはさすがに耐えられなかったらしい。はやくもうめき声をあげだした。
「・・・で、なにしにきたの。はやくしなさいよ。」
「・・・いえもういいです・・・。」
「・・・・・・・・・・。」
「・・・わかりました・・・・。」
沈黙の意味がわかったのか、おとなしくはなす気になったらしい。窓に腰かけ、にこやかーに話し出した。
「いえね・・・僕の主である獣王様に解雇を命じられたんですよねーー。」
「・・・よくある派遣社員のクビきりね。」
「リナさぁぁぁん・・・。」
「どーすんの。まさかあてもなくどっかをさまようってんじゃないでしょ。」
「・・・・。」
「あんた危険人物だし・・・。」
「そこまでいわれると・・・。」
「じゃ、人間にもなるっていうの?。」
ゼロスはぽんっと手をたたいた。
「そーでした、その話をしにきたんですよ。」
「・・・・は?。」
ほんのじょーだんでいったつもりだったのだがどーやら本気にしたらしい。第一、魔族と人間は種族が違う。すむ世界も違う。見た目は似ていても実体をもたないものがいきなし実体をもてるはずがない。
「ゼロス・・・あんた正気?」
「いやーこの前みたクレアバイブルの写本にそれらしいことがかいてあったもので・・・」
あーはいはい・・・・なっ・・・
「ク、クレアバイブルっ。見せてっ教えてっ。はーやーく教えなさいっ。」
「く、くるしい・・・・。」
ぱっとてを離すと、ゼーハーゼーハーくるしそーに息をしている。
・・・ちとやりすぎたか・・
「で、ですからクレアバイブルに『種族変換方法』がのっていたんですよ。」
「・・・・見せなさい。」
「焼いちゃいました☆。」
「・・・」
「あわわわ、教えますって。」
「で、それは魔族が人間になるためのことしか載ってなかったの?ゴーレムとブロウデーモンと人間の組み合わせの解き方とかクラゲと人間の組み合わせの解き方とか魔族とゴキブリの組み合わせの解き方なんかは載ってなかったのね?」
「・・・・最後の二つの組み合わせはちょっと気になりますが・・・ええ、のってませんでした。載っていたのはそのやり方と世界でただ一人、過去にただ一人だけ、人間になった魔族の話だけですね。」
「過去にただ一人?」
「ええ、数千年前にひとりだけ・・・。この変換方法は二つあったようで・・・ひとつめはどうとして二つ目の方法がかなりまずいんですよね。これが。」
「まずいって?」
「さきほどの人間になった魔族というのは前者の方法をものすごくいやがったらしく、二つ目の方法で完全に人間になったらしいんですよ。」
「だからまずいってなにが?」
「ひとつめの方法はあまり体力も魔力も消耗しない非常におだやかな方法なのですが、もうひとつは、・・・一歩まちがえばロード・オブ・ナイトメアをもういちど呼び覚ますことにもなりかねないんですよ。」
にこやかーな表情で言うゼロス。しかし、あたしはその言葉を聞いてさあっと全身の血がひいてゆく思いがした。
〈ロード・オブ・ナイトメア〉
かつて、あたしがフィブリゾと戦ったさい、呼び出してしまった大魔王ロード・オブ・ナイトメア。魔王シャブラニグドゥの力を借りて発動するドラグ・スレイブでさえも一瞬にして打ち砕く威力をもち、少しでも制御を怠れば世界を破滅させかねない史上最強の攻撃呪文・・・ギガ・スレイブ。
ナイトメアの力を借りて発動できるものなのだが、前に制御に失敗したときにこのロード・オブ・ナイトメアに身体をのっとられたことがあったのだ。これが。
「・・・・じゃその人どーなったのよ・・・。」
「約2、3百年は生きたらしいですよ。」
「フツーとあんま変わんないんじゃない?それじゃ。」
「でもそこらじゅうの魔族に攻撃かけられるよりはましなんじゃありませんか。誰の支配下にも入っていない魔族ほどいいターゲットはいませんからね。」
「どーゆーことよそれ。」
「ですから、その魔族を自分にとりこんで自らのキャパシティを上げようって魂胆ですよ。別にそれがいなくなってもだれもなにもいいませんし・・・」
なるほど・・・
「で、ゼロスもだれかの支配下にいるわけじゃなくなったから、狙われるかもしんないと・・・だからそーやって魔族せーかつやめたくなったのねー。」
「ま、そーゆーことですか。」
「でもさーあんたのこと狙ってくるほど世間知らずの魔族なんているかしら?あんた、魔族の中でも一、二を争うぐらいでしょ。そのまんまのうのうとそこらへんうろついてたほうが性にあってんじゃないの?」
はう・・・
ゼロスがため息をついた。
「だからですねー僕をねらってくるのは魔族だけじゃないってことですよ。」
「・・・・ほう?」
「つまり、せっかく創った自分の持ち駒がそこらをうろうろされるのは創った張本人の獣王様としてはおもしろくないはずで、それについて、その他の魔王様たちも自分が最強になろうと必死なのですからやっぱり狙ってくるはずなんでしょうが・・・」
ゼロスはいったんそこで言葉を切った。
「ここんとこずっと追いかけられっぱなしで僕としてははやくけりをつけたいんですよねー。」
「じゃとっととけりつけてどっかいきなさいよ。あんたがここにいることによってあたしたちまでねらわれることになるんだから。」
「・・・ガウリイさんもご一緒ですか?」
「そーよ。隣の部屋でいまごろグースカねてるでしょーね。」
「・・・・ふむ。」
「どーしたのよ。」
「いえ、そのほーが儀式をやるのにちょうどいいかな・・・と。」
「・・・なんで。」
「この儀式には協力者が必要でして。」
「・・・?」
「儀式の方法は簡単。呪文を唱えて人間の女性と一時的に愛し合えばいいのです。人間の、それも処女の。その上ある程度キャパシティをもったかたと。」
ふーん・・・
「で、その相手ってのは心当たりあんの?」
「ええ・・・一応・・・」
「誰よ?」
「リナさんですよ。」
バッシィィーーーーン
その瞬間、あたしの鉄板入り超強力、スリッパゴキブリ落とし攻撃が炸裂した。
「ほかの人じゃだめなわけ?なんであたしなのよ?」
「ひ、ひどいですよリナさあーん・・・。」
「で、な・ん・で・あたしなのよ?」
急に、真顔になったゼロス。
「恋愛感情の問題ですよ。仮にどこかの女性に術でもかけて一方的にほれさせたとしても、僕自身、その方と愛し合わなきゃ意味がないのですから。当然、僕が僕自身に術をかけるのはもってのほか、少なからず恋愛感情を僕自身が持たないかぎり、この方法は成立しないのですから・・・」
えっと・・・つまりそれって・・・
「あたしのこと、すきってこと?」
にっこりと笑いかけたゼロス。
「そーいうこと・・・ですね。」
ぴっと人差し指をたてると、おもむろに片手をリナにさしだした。
「今夜だけ・・・僕の花嫁になっていただけますか?」
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・長い沈黙の後、
リナはベッドの上から身を乗り出し,同様、ゼロスに向かい手を伸ばし・・・
ばしぃっとゼロスの手をなぎはらった。
「ジョーダンじゃないわっ。なんで好きでもないやつにいきなし抱かれなきゃなんないのよっ。だいたいゼロスっそのクレアバイブルの写本、本物だったんでしょーね?」
「ええ・・僕実際その人にあったことあるんで。」
「ふーん・・・ってゼロスっその話いつのことなのよ。あんた一体何年生きてんのよ?」
「うーん・・・ざっと二千年くらい前かと。」
・・・・・・・・・・こ、このやろー
「どーしました?リナさん?」
ぷちっ
「・・・・黄昏より暗きもの 血の流れより紅きもの 時の流れに埋もれし 偉大な汝の名において ・・・」
たとえ、物理的な攻撃が利かなくても、かなりのダメージを与えることのできる、黒魔術最大の技、ドラグ・スレイブ・・・ゼロスは知っているはずだ。ドラグ・スレイブの威力を・・・しかし、彼はにこやかーな笑みをうかべたまままったく動じない。
「-等しく滅びを与えんことをっ。」
あたしの呪文が完成した!
「ドラグ・スレイブっ。」
力ある言葉が炸裂!
・・・・・・・・・・・・・えっ。
何も起こらない・・・そよ風ひとつ起きない・・・普段のあたしはともかく、〈あの日〉のときでさえ、この部屋を丸焼きにするぐらいの威力はあるはずなのに・・・・
「無駄・・・ですよ。ここのまわりはすべて僕の結界によって支配されているのですから。」
・・・・・・・うっ油断していたか・・・ならば・・・
「ダグ・ハウトっ。」
・・・・しーん
くすっと笑うゼロス。
「無駄・・・と言ったでしょう?往生際が悪いですね。」
・・・・くっ
あたしはベッドから飛び降りると、結界の『外』にむかって走り出した!
ビリリリリッ、バヂバヂっ
「うああぁぁぁぁ・・・・。」
一瞬のうちに体中を、強い電気のようなものが流れ、あたしは結界の壁に跳ね飛ばされ、床にうずくまってしまった・・・
「く、うう・・・。」
結界電流・・・普通、相手を閉じ込めるのに結界を張る際、つきものなのがこの「結界電流」である。もちろん、あたしもそれを覚悟でつっこんでいったのだが、相手が悪かった。
「どーすんのよ・・・あたしを・・・」
にこっと笑いかけるぜロス。
「もちろん、僕の花嫁になっていただきます。無理矢理に、でも・・・」
・・・・・・・・・・・本気だ。ゼロスは本気なんだ。本気で、あたしのことを抱くつもりだ。
「心配なさらないでください。あなたの声、姿は外からはわかりません。すべて・・・僕だけにしか聞こえません。」
・・・いや、そゆー心配じゃないんだけど・・な。
「それじゃ・・・。」
ぱちんっと指を鳴らした瞬間、あたりの風景が一変した。
「・・・・・なっ・・・・。」
あの、さびれた、すすけた感じだった部屋は消え・・・・なんというか・・・風俗店のVIPルームみたいなふうになってるのである。これが・・・
「あんたって・・・こーゆー趣味だったけ・・・。」
「いえ、ちょっと人間のことを調べてたとき、こーゆーところで人間ってヤリたがるってことがかかれてたんでたんで・・・・。」
・・・・・なにを調べてたんだ。なにを・・・・
「リナさんもその格好・・・似合ってらっしゃいますよ?。」
えっ・・・
「なななっ・・・!」
驚愕の声を上げたリナ。驚いたのは・・・その格好が今にもずり落ちてしまいそーな、というより、服の役目をまったく果たしていない透け透けのレースの紐ワンピ・・・だったのである!
「な、なによこれっ!この服っ。は、はやくもとの服返しなさいよっ!」
ふっと薄く笑うゼロス。
「それは・・・できませんね。」
くいっとリナの細い腰を引き寄せ、ベッドへ押し倒したゼロス。
「へっ、きゃあっ。」
これまたレースで縁取られた天蓋つきの丸ベッド。その用法は・・・明確であった。
「いやあっ、離してっ。」
身もだえして暴れるリナ。しかしゼロスは、それをいともあっさりと動きを封じ、自分の方に顔を向けさせた。
「ふむ・・・やはり嫌がるリナさんの顔もまた素敵ですね・・・人間になったら本当に娶ってあげましょうか?」
「い、いやっ。離してっ。あ、あんたなんて嫌いよっ。あっちいってぇっ!」
ゼロスはすうっと目を細めた。
「ではこんなのはいかがです?」
もういちど、ぱちんっと指をならすと・・・
いつのまにか、リナはベッドの端に手首を固定されてしまっていた。
「いや・・・やだ・・・。」
にっこりと、笑いかける、ゼロス。その笑みはリナにはとても恐怖に感じられた。
「離しませんよ・・・?」
いつのまにか、ゼロスの手の中に入っていた、ピンク色の液体が入った小さな瓶・・・
リナはそれに見覚えがあった。
「・・・それ・・ま、まさか媚薬?」
「ええ、察しがいいですね。」
くいっと口に媚薬をふくむと、リナの顎をつかみ、唇を自分のそれと重ね合わせた。
「ん・・・ふ、う・・・いや・・う・・ふぅ・・・・。」
流し込まれる、熱くて甘い液体・・・吐き出そうとしてもゼロスはゆるさなかった。
コクン・・・
飲み干したのを確認し、唇を離す。
「はあ・・・はあ・・・。」
苦しそうに荒い呼吸を繰り返す、その姿・・・媚薬の影響からか、ほんのり紅色に染まりはじめた身体・・・すべてが美しく、愛おしい。
このままどこかに隠して、自分だけのものにしてしまいたい・・・そんな思いさえ、頭によぎった。
「いや・・・・離して・・・。」
媚薬によって思うように動かせないはずの身体を必死に動かし、なんとか抵抗を繰り返すリナ。
求めても・・・彼女自身は自分のものになどなってはくれないであろう・・・。
そう思うと急に腹立たしさが沸いてきた。
「リナさんは・・・一時的に、でも僕のものになってくれないのですか?」
「・・・・・・・いや・・。」
否定。彼女は、絶対に自分を受け入れはしない。それは・・・彼女がなにごとにも揺るがない、本物の『自我』をもっているから・・・。
ならば・・・その『自我』を奪ってやればいいだけだ。
「・・・ゼ・・・ロス?」
急に動きを止めたことが不気味になったからなのか、恐怖の色さえにじませ、じっと自分をみすえるリナ。
「ふう・・・なら・・・しかたありませんね。」
ゼロスの手の中には・・・小さな宝石がにぎられていた。
「・・・・それは・・・!」
そう・・・これは魔法店にいけばいくらでも手に入る、『宝石の護符』こと、ジュエルズ・アミュレット・・・しかし、ただのアミュレットではない。なかには、小さな護符と一緒に、もうひとつ、宝石の埋め込まれている。・・・これは、普通の魔法店にはめったにならぶことのない『コントロール・アミュレット』なのだ。
「あ・・・あんた、どっこからそんなもん手にいれたのよっ。そんな危険アイテム・・・さっさと捨てなさいよっ。」
またしてもにこっと笑いかけるゼロス。
「ちょっと取り寄せてみただけです。僕が使うかどうかはリナさん次第・・・ですね。」
うっ・・・・・そうきたか・・・
「あんたなんて・・・いやっていったでしょ!」
すっと、目を細めた。
「やはり・・・ですか。では・・・。」
ぴんっと、宝石をはじくと、リナの額の中心あたりにぴたっとくっつく。その瞬間、アミュレットの魔法陣が光をおび、額の中へ溶け込むように、吸い込まれるように入ってしまった・・・
「・・・・・・。」
石が埋め込まれ、ピクリともしなくなったリナ。
やがて、ゆっくりと顔をあげ、じっとゼロスのほうを見つめると、おもむろに口を開き、
「ゼロス・・・。」
彼の名をよんだ。
優しい、警戒や殺気など、いっさい感じられない、甘い声・・・
男ならば、こんな風に
ゼロスを見つめる、紅い、ルビーのような瞳・・・しかし、その色は輝きを失い、まるでくすんだビー玉のような色になってしまっていた。
「はうっ・・。」
慌てて足を閉じようとしたが、ゼロスはそれを許さない。
「・・・まだ濡れていないようですね・・・。では・・・。」
リナの方へ向き直ると、
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